薔薇に魅せられて

私が薔薇に魅せられたのは、英国に駐在したことからです。

ロンドンから１００マイルほど離れた土地に自動車工場を立ち上げるのが私の仕事、妻と中学生二人、小学生一人を帯同しての英国行きでした。

住まいはロンドン郊外のウインザー城の下、テームズ河のほとりの一軒家となりました。

形どおり前庭と裏庭を持つ瀟洒な家で、前庭にはリビングの窓を包むようにつるバラが這い、木の塀に囲まれた芝生の裏庭の周囲には、オールドローズが植えられていました。

そして、春から秋までは色とりどりの花が咲き、冬になると真っ赤なローズチップが、わたしたち家族の初めての異国での生活を癒やしてくれました。

しかしながら、５年の駐在を終え日本での生活が始まると、そんなことはすっかり忘れ、相変わらずの仕事一辺倒の生活、バラのことなどはすっかり忘れてしまいました。バラのことを思いだしたのは、リタイヤの時期が見え始め、そろそろ終の棲家をと考えた時のこと、大きな川が近くを流れ、狭くてもバラを育てられるスペースがあることという条件でした。

それが今の家です。

今朝、今年の一番花が咲きました。

名前にサマーとあるように、例年ならこんなに早く咲くことのない「つるサマースノー」です。